白髪染め?おしゃれ染め?実は大きな違いは1つだけ

白髪染めとおしゃれ染めの違い

「白髪染めとおしゃれ染め」

今っぽく(美容業界的に)言うと「グレイカラーとファッションカラー」

一般的には、白髪染めとおしゃれ染めで伝わるかと思います。

多くの方が、

  • 白髪染めは暗くしかできない…
  • おしゃれ染めは明るくキレイに染めれる

と言う認識を持っていて、

  • 白髪染めは白髪がある方を染めるヘアカラー剤
  • おしゃれ染めは白髪がない人を染めるヘアカラー剤

というように分けて考えていると思います。

大体は正解ですが、この2つのヘアカラー剤の違いは、たくさんあるわけではありません。

実は、ヘアカラー剤自体の成分にはそこまで大きな違いはないのです。

これから白髪染めをしようか迷っている方の疑問を解消し、白髪へのストレスを少しでも減らせればと思います。

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白髪染めとおしゃれ染めの違いを知るところからはじめましょう

まず、2つの違いを説明する前に知っておいてほしいことがあります。

白髪を染めることができる白髪染めヘアカラー剤には、いくつか種類があります。
酸化染毛剤、酸性染料、植物性染料…他数種類あります。

ここで、おしゃれ染めとの違いを説明する白髪染めは【アルカリ性酸化染毛剤】というヘアカラー剤です。

なぜなら、おしゃれ染めもこのアルカリ性酸化染毛剤だからです。

そして、この2つの違いを知る前に【アルカリ性酸化染毛剤】というヘアカラー剤を理解しておかなくては、本当の意味での違いを理解することができません。

これを理解できると、白髪染めの仕上がりに対する疑問や不安が少し解消されるかもしれません。

アルカリ性酸化染毛剤とは美容室で1番使われるヘアカラー剤

『白髪染めで最も使われるアルカリ性酸化染毛剤のすべてを解説』で詳しく解説しているので、髪が染まるメカニズムやメリットデメリットを詳しく知りたい方は、1度ご覧ください。

このアルカリ性酸化染毛剤の1番の特徴が「髪を明るくも暗くもできるし、幅広い色を表現できる」ということです。

イメージしてほしいのは、

  • 黒髪(地毛)を明るくしてアッシュ系に仕上げることができる
  • 白髪を暗くしていきながらアッシュ系に仕上げることもできる

ということ。

おしゃれ染めでも白髪染めでも、知らないだけでみんな使っているのがアルカリ性酸化染毛剤

白髪のない黒髪の方が「明るいアッシュにしてください」と美容室でお願いしたら、全ての美容師がアルカリ性酸化染毛剤のおしゃれ染めを使って染めてくれるはずです。

白髪が増えてきた方が「白髪が気になるので、どうしたらいいですか?」と美容室で聞いたら、ほとんどの美容師がアルカリ性酸化染毛剤の白髪染めでの施術を提案してくるはずです。

髪色がすごく明るく色落ちした方が「もう少し落ち着いた色にしたい」と美容室でお願いしたら、ほとんどの美容師がアルカリ性酸化染毛剤のおしゃれ染めか白髪染めを使って染めます。

それぐらい、美容室でのヘアカラー施術において必要不可欠なのが【アルカリ性酸化染毛剤】というヘアカラー剤なのです。

この名称を聞いたことがないだけで、美容室でヘアカラーをしたことがある方のほとんどがコレで染めていると思います。

ドラッグストアで市販されているヘアカラー剤でも1番種類も多く、販売数も1番です。

ご自宅でセルフカラーしてみようと、ドラッグストアで手に取る商品もたぶんアルカリ性酸化染毛剤です。
(箱には「酸化染毛剤」と記載されているかもしれませんが同じです)

言ってしまえば、美容師はもちろんのこと、そうでない一般の方でも知らないだけで「ヘアカラー剤といえばコレ」というのがアルカリ性酸化染毛剤なのです。

美容師でない一般の方は、白髪染めとおしゃれ染めのヘアカラー剤は全く別物という認識でいる方がほとんどです。

でも実は、白髪染めもおしゃれ染めもこのアルカリ性酸化染毛剤という同じヘアカラー剤なのです。

【ちょっとした豆知識】

それぞれヘアカラー剤に含まれている染料も少し違うので、わかりやすいように「白髪染め」と「おしゃれ染め」と分けて呼びますが、

白髪染めを白髪がない方に使う場合もありますし、その逆で白髪があってもおしゃれ染めを使う場合もあります。

【白髪用】【黒髪用】として考えられがちですが、美容室の現場では必ずしもそうではないのです。

白髪染めとおしゃれ染めの大きな違いは「目的の違い」

2つとも同じヘアカラー剤だからこそ「何が違うの?」となります。白髪でお悩みの方からすると、

  • なんで白髪は暗くしないと染まらないの?
  • なんで白髪染めは明るくできないの?
  • どうしておしゃれ染めじゃ白髪は染まらないと言われるの?

という疑問が出てきて「白髪染めとおしゃれ染めは何が違うの?」となるわけです。

白髪が生えてくる前は、おしゃれ染めで透明感あるカラーをしていたけど、白髪が気になりだしてから、白髪染めで暗めにしか染めれていない…

【白髪染めでもおしゃれ染めのように染めれないのか?】という思いを持つ方は多いです。

この同じアルカリ性酸化染毛剤であるにも関わらず、なぜ白髪染めとおしゃれ染めで仕上がりが変わるのかというと、それぞれ「目的」が違うヘアカラー剤だからなんです。

おしゃれ染めの目的から説明していきます。

おしゃれ染めの目的は「(明るく)幅広い色を楽しむ」ことです

おしゃれ染めヘアカラー剤が得意としているのは「明るさ」と「色」の部分です。

日本人の地毛は黒髪です。

例えば、その黒髪を透明感を感じる明るいアッシュにしようとした時、

  • 黒髪を明るくする
  • アッシュの色に染める

という2つのことが必要となります。この2つを実現してくれるのがおしゃれ染めなんです。

例えば、ブリーチで金髪になっている髪をキレイなミルクティー色にしようとした時、

  • 金髪の黄色味を抑える
  • (暗くなりすぎないよう)ミルクティー色に染める

という2つを実現してくれるのがおしゃれ染めです。

明るくクリアな幅広い色を表現

おしゃれ染めは、このように髪の明るさ(透明感)や色味(アッシュ系など)を重視した、ファッション性が高い仕上がりを目的にしたヘアカラー剤なんです。

白髪染めの目的は「白髪を目立たせなくする」ことです

一方、白髪染めが得意としているのは「白髪を黒髪に近づける」ことです。

日本人の地毛は黒髪です。

白髪が生えてきて目立ってしまうのは、黒髪の中にある白い髪だからです。

 

黒の中にある白髪は目立つ

白髪でお悩みの多くの方は「もう全部真っ白」というわけではありません。むしろ「黒髪の方が多いけど白髪もある」という方の方が多いのです。

白髪染めの需要はここ「黒髪と白髪の両方が混在している」にあります。

黒髪と白髪を同時に染めて、同じような均一な仕上がりにするという目的を持っているのが白髪染めです。

そのためには、白髪を黒髪に近づける必要があるのです。それと同時に黒髪を白髪に少しでも近づける必要も出てきます。
(後述で詳しく解説しています)

白髪はもともと1番明るい状態の髪色です。黒髪は1番暗い状態の髪色です。この2つの髪は真逆の色です。

白髪は色素を持たない髪。黒髪は色素が詰まった髪。
「白と黒」正反対です。

正反対の色を同じようにするために、

  • 白髪は黒に近づくようにしっかりと暗くしていく
  • 黒髪はそれに合わせて少し明るくしていく

ということを得意として作られているのが白髪染めです。

白髪染めは、色素を持たない白髪をしっかりと染めることを重視した、白髪を目立たせなくする仕上がりにする目的を持ったヘアカラー剤なんです。


 

  • おしゃれ染めは「明るく幅広い色に仕上げること」が目的のヘアカラー
  • 白髪染めは「白髪をしっかりと染めること」が目的のヘアカラー

という目的の違いがあって作られています。

この目的が大きな違いとなっています。

ここで疑問に出てくるのが、

「同じアルカリ性酸化染毛剤なら、この2つの目的を持ったヘアカラー剤を作ればいいのではないか?」です。

思いませんか?

【明るく幅広い色味で黒髪も白髪もしっかりと染めれるヘアカラー剤】というもの。

残念ながらそれが出来ないのです。まだ今は…

先ほど【白髪染めの目的】で書いた、白髪と黒髪の両方が混在しているということ。

この正反対の髪を均一に仕上げようという目的を実現しようとなると、おしゃれ染めの持つ「明るく幅広い色味」という目的が実現できなくなるのです。

目的の違う2つのヘアカラー剤は、【白髪染め】【おしゃれ染め】と分けて作るしかないのが現状です。

2つの目的を1つにしようとすると、矛盾が生じてしまうのです。

この矛盾を解消して、白髪も黒髪も好きな髪色に染めれるパーフェクトなヘアカラー剤を作るのは難しいと思います。

次でも説明しますが「白と黒」は正反対ですから。

ただ、白髪染めでは絶対にキレイに明るく染めれないというわけでもありません。

明るさに限界はありますが、黒髪も同時にある程度までは白髪も染めることはできます。

白髪染めにはあって、おしゃれ染めにはない。染料の違いが仕上がりの邪魔をする

2つとも同じアルカリ性酸化染毛剤で、成分や髪が染まる仕組みは同じです。

けれども、目的の違うこの2つのヘアカラー剤には、違う染料が含まれています。

この染料が白髪を染めてくれるのですが、明るく幅広い仕上がりの邪魔をしてしまうのです。

その染料が白髪染めヘアカラー剤に含まれる「ブラウン」です。

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白髪染めにはおしゃれ染めにはないブラウンが多く含まれている

白髪は真っ白なので、染めようと考えた時に暗くしていくことになります。

髪色の明るい〜暗いという明度がありますが、白髪は1番明るい状態で黒髪は1番暗い状態です。

 

黒と白の差は大きい

白髪染めには、この黒髪との差を埋めるための濃いブラウン染料が含まれています。

そして、おしゃれ染めにはほぼ含まれていません。おしゃれ染めの目的は白髪を染めることではないので。

 

ブラウン染料の有無の違い

実際は、白髪染めにも色味を表現するための染料も含まれています。おしゃれ染めもヘアカラー剤によってはブラウンが含まれているものもあります。

ただ、わかりやすく図にしているので、このように考えてください。

このブラウンがどうしても必要不可欠になります。

そして、このブラウンがおしゃれ染めの持つ

  • 黒髪を明るくして透明感を出すこと
  • 幅広い色味の表現

を邪魔してしまうのです。

黒髪を明るくしたいけど白髪染めのブラウンが邪魔をする

白髪を染めるためには必要不可欠なブラウンですが、白髪と同時に染める必要がある黒髪まで暗くしてしまうのです。

これは黒髪と白髪が混在していて、1本1本塗り分けるという作業ができないため、同時に同じヘアカラー剤で染めるしかないわけです。
(白髪だけすくって染めて、黒髪はまた別のカラーで染めて…無理があるのです)

黒髪もヘアカラー剤に含まれるアルカリ剤で明るくはなるのですが、明るくなった後にブラウンが発色するので、暗い仕上がりになってしまうのです。

 

白髪染めの工程の中で、黒髪は1度明るくなりブラウン染料の発色で最後は暗くなります

白髪染めを塗ると【黒髪 → アルカリ剤で明るくなる → ブラウンが発色 → 明るく仕上がらない】となります。

白髪染めでは黒髪が明るくなりづらいため、全体の仕上がりが明るくならずに「白髪染めでは明るくできない」と言われています。

白髪染めとおしゃれ染め、両方同じ明るさのアルカリ酸化染毛剤で黒髪を染め比べたものがこれです。

 

同じトーン(明るさ)で黒髪を染めると…

2つともナチュラルブラウンで染めたものですが、同じ明るさのヘアカラー剤でもおしゃれ染めの方が明るく仕上がります。
白髪染めはブラウンが発色してそこまで明るくなっていません。

透明感あるキレイな色味を表現したいけど白髪染めのブラウンが邪魔をする

本来、透明感を出すには「明るさ」が必要です。黒髪を明るくしなければキレイな透明感は出せません。

逆に、白髪はもともと透明感のある明るさであり、それを染めるためにブラウンが入っている白髪染めを使うので、透明感のない黒髪は余計に透明感が出づらくなります。

次に、白髪染めとおしゃれ染め、両方同じ明るさのアッシュ系ブラウンのアルカリ酸化染毛剤で白髪を染め比べたものがこれです。

 

同じ明るさのアッシュ系で染めると…

おしゃれ染めは、透明感の感じる仕上がりになりました。
一方で白髪染めは、やはりブラウン染料が濃く発色してしまうので、透明感とアッシュの色味はあまり感じれない仕上がりとなりました。

白髪染めヘアカラー剤だけで、黒髪と白髪の混在した髪を「明るく透明感のある幅広い色で白髪もしっかりと染める」というのは無理なことなんです。

おしゃれ染めには、このブラウン染料がほぼ含まれていないので、クリアな明るい仕上がりにしやすいのです。

【白髪染めで明るくしようとしても…】
白髪を染めようとすると黒髪が明るくならない。ブラウンが邪魔をするから。

【おしゃれ染めで白髪を染めようとしても…】
透明感のある明るい色味にしようとすると白髪が染まらない。ブラウンが入っていないから。

ブラウンがないと白髪が染まらないけど、ブラウンがあると明るさと色味が表現しづらくなる。

だから、おしゃれ染めと白髪染めの両方の目的を1つにしたヘアカラー剤ができないのです。残念ながらまだ今は…
(いつかどこかのメーカーさんから作られることを願って…)

白髪と黒髪の両方を同時に透明感あるカラーに仕上げるときは、白髪はほぼ染まりません。

【まとめ】白髪染めとおしゃれ染めでの違い

この2つは、同じアルカリ性酸化染毛剤であることに違いはありません。

しかし、目的が大きく違うため2つに分類されているのです。

  • 白髪を染めるのが得意な白髪染め(グレイカラー)
  • 黒髪を明るくキレイに染めるのが得意なおしゃれ染め(ファッションカラー)

「白と黒」という正反対の髪色を持つ白髪と黒髪を、同時に染める必要がある白髪染め。

黒髪もしくは白髪のどちらか一方だけをキレイに染めるとができればいいおしゃれ染め。

目的の違いがこの2つの最大の違いであり、出来ること出来ないことがハッキリと分かれている理由です。

  • 白髪染めは白髪を染めるのが得意
  • おしゃれ染めは黒髪を明るく染めるのが得意

と考えてください。

白髪でお悩みの方で「もっとキレイに白髪染めできたらいいのに…」と感じている方は、こちらが参考になると思います。

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