- 2020.02.17
- 白髪染めヘアカラー剤のこと
白髪染めで最も使われるアルカリ性酸化染毛剤のすべてを解説
白髪を染めるヘアカラー剤の種類にはいくつかあり、その中で1番多く使われる白髪染めが「アルカリ性酸化染毛剤」です。
美容室はもちろん、ドラッグストアなどで市販されている中でも最も種類も豊富で多く販売されています。
市販されているもので泡タイプ、クリームタイプなど。美容室ではクリームタイプが主流。
とにかく白髪染めといえば、一般的にコレを指すといってもいいくらいのヘアカラー剤です。
黒髪を明るいアッシュにしたりするファッションカラー(おしゃれ染め)もコレです。
そんな1番人気(?)なアルカリ性酸化染毛剤での白髪染めは、
- どのような方にオススメで、どのような仕上がりになるのか?
- 白髪が染まる仕組み
- 何が出来て、何が出来ないのか?
- どのようなメリット、デメリットがあるのか?
どこよりも詳しく解説します。
この記事を読むことで、白髪染めカラー剤を選ぶときや美容室選びの参考になるはずです。
ただ、白髪染めに求めることが「明るさや色持ちよりも、何より髪と頭皮に負担がないものがいい!」という方は、このアルカリ性酸化染毛剤での白髪染めは向いていないです。
はじめに伝えておきます。
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白髪染めで1番人気のあるアルカリ性酸化染毛剤のすべてを紹介
1番人気というのは、言い換えると「白髪染めをする多くのお客様のご希望を叶えやすい」ということなんです。
お客様が白髪染めに求める希望は様々ではありますが、その様々なご希望に幅広く対応できるのがコレなんです。
しかし、全てを叶える完璧な白髪染めヘアカラー剤は存在しません。このアルカリ性酸化染毛剤もそうです。
だからこそ、このヘアカラー剤が出来ること、出来ないことを知っておく必要があり、自分の希望の中での優先順位を決める必要もあります。
アルカリ性酸化染毛剤での白髪染めがオススメの方
まず、このアルカリ性酸化染毛剤での白髪染めが、どのようなご希望をお持ちの方にオススメなのかが重要となります。
1番の希望が「明るい白髪染めをしたい」という方にオススメ
白髪染めで明るく染めたい方が選択するべきヘアカラー剤です。
白髪でお悩みの多くの方に言えるのが、髪の毛全てが白髪ではないということです。
下の画像のように、黒髪と白髪の両方が生えている方が多いです。
希望としては、黒髪も白髪も同じ仕上がりにしたいということがあり、明るさも暗くはしたくないという方です。
黒髪も白髪も明るく染めた仕上がり
黒髪も白髪も明るめに染めたい。暗くはしたくない。という白髪染めをご希望の方に1番オススメなのがアルカリ性酸化染毛剤となります。
アルカリ性酸化染毛剤が毛髪を染める仕組み
白髪は元々明るい髪なので色を入れていけばいいのですが、黒髪は暗いため明るくする必要があります。
これは、わかりやすくいうと「明るくしながら色も入れていく」というこです。
この2つのことを同時に髪に作用させていく必要があります。コレを可能とするのがアルカリ性酸化染毛剤での白髪染めとなります。
では、どのようにしてこの2つが作用するのか解説します。
2つの薬剤を混ぜて使うアルカリ性酸化染毛剤
1剤と2剤の2つを混ぜることで、白髪と黒髪を同時に染めていきます。
ここでは、美容室でも使用されるクリームタイプで解説します。
1剤である酸化染毛剤の作用と成分
【アルカリ】
髪表面のキューティクルを開き、染料を毛髪内部に浸透させる。
また、黒髪を明るく脱色させる。
【ブラウンベース】
ジアミン配合の染料で、白髪を染めるのに必要不可欠。髪の内部で発色し、定着します。
【色味】
ジアミン配合の染料で、アッシュやレッドなどの色を表現してくれる。
髪の内部で発色し、定着します。
2剤である過酸化水素の作用と成分
【過酸化水素】
1剤の染料(ジアミン)を酸化促進させ発色させる。
1剤のアルカリと反応して活性酸素が発生し、黒髪を明るくしていく。
過酸化水素の濃度の違いが、脱色や発色に影響してくる。
【その他成分】
1剤と混ざった時の操作性を良くしたりするもの。
1剤は、白髪を染めるための染料(ブラウンベース)と、その染料を浸透させるためと黒髪を明るくするためのアルカリがメイン。
美容師は、この1剤をうまく調合して白髪と黒髪を同時に明るく染めていったり、赤味を抑えて白髪を染めていきます。
1剤に含まれるブラウン量をコントロールするには、確かな知識と経験値が必要となります。
2剤は、1剤の働きを助けることが目的で、過酸化水素の濃度差が仕上がりやダメージなどに影響してきます。
美容師は、お客様の髪の状態やご希望に合わせて、濃度をうまく調整していきます。
白髪と黒髪を同時に明るく染める仕組み
次に「1剤のアルカリ性酸化染毛剤」と「2剤の過酸化水素」の混合液で、髪が染まる仕組みを図で解説します。
染める前の状態の髪です。
キューティクルが閉じていて、メラニン色素が脱色されていません(髪が明るくなる前)
1剤と2剤を混ぜた混合液です。
1剤のアルカリと2剤の過酸化水素が反応して活性酸素が発生。
1剤の染料が2剤と反応して酸化が始まる。
アルカリ剤がキューティクルを開き、そこから染料と活性酸素が浸透する。
活性酸素はメラニンを脱色し、染料は内部で発色していく。
メラニン色素が脱色され、髪が明るくなってきている。
染料は発色し続け髪の色が変わってきている。
分子の小さかった染料は酸化によって大きくなり、キューティクルのすき間から出づらくなり、毛髪内部で定着する。
健康な髪は、表面にあるキューティクルに守られています。
1剤と2剤を混ぜた混合液を髪に塗ると、混合液のアルカリ剤がキューティクルを開いてくれます。
次に開いたキューティクルのすき間から染料と活性酸素が浸透し、活性酸素がメラニン色素を脱色すると同時に、染料が酸化して発色していきます。
(この作用により、黒髪を明るくしながら白髪を染めることができます)
活性酸素の発生する量は、1剤のアルカリの量と2剤の過酸化水素の濃度によって変わってきます。活性酸素の量が多いほど髪を明るくすることができます。染料は酸化により発色が促進します。
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アルカリ性酸化染毛剤の出来ること出来ないこと
この白髪染めヘアカラー剤は、幅広く対応できる薬剤ですが出来ないこともあります。
【出来ること】
- 白髪を染めることが得意
- 白髪を明るめにも暗めにも染めることができる
- 黒髪もある程度まで同時に明るく染めることができる
- 調合することで色味や明るさに幅広く対応しやすい
1剤に含まれるブラウン染料をコントロールすることで、白髪を明るくも暗くも染めることができます。
また、アルカリと過酸化水素のバランスを調整することで、黒髪も明るくしながら、白髪に染料を発色させます。
【出来ないこと】
- 黒髪をキレイに明るくすること
- ファッションカラーのような透明感ある仕上がりにすること
- 彩度の高いキレイな色を出すことが得意ではない
白髪を染めるために必要なブラウン染料が入っているため、どうしても透明感を出すのが難しいです。
(→ファッションカラーとの違い)
また、黒髪も明るくなっていきますが、このブラウン染料が白髪だけでなく黒髪にも発色するため、明るくなった黒髪もどうしても暗く仕上がりやすいのです。そのため、黒髪をキレイに明るく染めることが難しいです。
黒髪と白髪を同時に明るく染めるには限度があり、明るさ(透明感)や色の鮮やかさは、同じアルカリ性酸化染毛剤であるファッションカラーに劣ります。
アルカリ性酸化染毛剤のメリットデメリット
白髪染めで1番人気のヘアカラー剤ではありますが、残念ながら完璧なものではありません。
【メリット】
- 根元からしっかりと白髪を染めることができます
- 髪の内部で発色し、色持ちが良い
- 1剤を調合することで幅広い色が出せる
- 種類が最も多く選択肢が豊富
- カラーチェンジがしやすい
地肌についてもシャンプーで落とせるので、根元から白髪を染めることができ、髪の内部で発色するので色持ちが良い。
美容師の技術力にもよりますが、うまく調合して染めることで幅広いご希望に対応しやすいです。
【デメリット】
- 髪と頭皮への負担があり、繰り返すことで髪のダメージが進行する
- 個人差があるが刺激を感じやすい
- ごく稀にアレルギー反応が出ることもあり、アレルギーが出ると2度と使えない
根元から染めることのできるヘアカラー剤ですが、刺激を感じたりアレルギーを引き起こす可能性があります。
そのため、ヘアカラー前のパッチテストが大切です。
また、髪の内部へ染料を浸透させるのに髪表面のキューティクルを開くため、繰り返しのヘアカラーによりダメージが進んでいきます。
そのため、頭皮ケアとヘアケアの両方が大切となります。
刺激の原因と対策が知りたい方はこちら
→『白髪染めヘアカラーをする時にいつもピリピリと刺激を感じるけど大丈夫?』
アレルギーの原因や対処が知りたい方はこちら
→『白髪染めヘアカラー剤でのかぶれやアレルギーが起きる原因をどこよりもわかりやすく解説』
【まとめ】アルカリ性酸化染毛剤での白髪染め
美容室で白髪染めをお願いすると、大抵はこのヘアカラー剤が使用されます。
そのくらい一般的に「白髪染めといえば、コレ!」となっている存在です。
明るさに限度はありますが、黒髪も白髪も同時に明るく染めることができるのは、コレだけです。
白髪でお悩みの多くの方は、髪の毛全てが真っ白になっているわけではありません。黒髪も白髪も両方あるから「キレイに明るく染めたい」というご希望が多いのです。
そのご希望を1番実現しやすいのがアルカリ性酸化染毛剤というわけです。
ただ、髪と頭皮に負担があるものなので、美容師の毛髪診断や頭皮状態の確認などが大切となりますし、アフターケアも大切となってきます。
ホームカラーでも多くの白髪染めが市販されていますが、メリットデメリットが存在するため注意すべきこともたくさんあります。
→『自宅で市販の白髪染めを使うときに絶対に知っておいてほしいこと』
白髪を染めるヘアカラー剤に出来ないこともデメリットもないというパーフェクトなヘアカラー剤は存在しません。
白髪染めで出来ること・出来ないこと、メリット・デメリットを理解した上での選択が必要です。
この白髪染めで1番使われるアルカリ性酸化染毛剤で、定期的な白髪染めをしている方の頻度が気になる方は、こちらが参考になります。