- 2020.04.14
- 美容室での白髪染めについて
誤解が多い!実は美容室と市販の白髪染めに違いはない
白髪染めは、美容室とご自宅のどちらで染めますか?
どちらが多いかはわかりませんが、市販の白髪染めを使ってご自宅で染める方も多いです。
白髪染めを定期的にしている方は、
- 美容室でしか染めていない
- 美容室と自宅の両方で染めている
- ほとんど自宅で染めていて、たまに美容室
- 自宅でしか白髪染めしない
この4つのどれかです。
1,と2,は美容室での定期的な白髪染めです。
3,も美容室でも染めています。
4,の「自宅でしか白髪染めしない」という方に、知っておいてほしいのが【美容室と市販の白髪染めの違い】です。
美容室での白髪染めをオススメするわけではありません。市販の白髪染めのことを理解して、ご自宅で上手に白髪染めをしてほしいと思います。
(ただ、セルフカラーをオススメしているわけではありません)
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美容室の白髪染めと市販されている白髪染めの大きな違い
僕の美容室には、市販のヘアカラー剤で白髪染めをしていたというはじめてのお客様のご来店も多いです。
そのお客様方の美容室を利用しようと思った理由が、
- 白髪が増えてきてセルフカラーでは限界…
- キレイに白髪が染まらない
- 明るくしたいけど暗くなっちゃう…
- 髪の傷みが気になってきた
- コレでいいのかわからない…
- 面倒臭くなってきた…
など、いろいろあります。
しかし、ほとんどの方は、希望の仕上がりにならないし面倒。染めてもすぐに根元が伸びてきて、またすぐ染めないとならなくなる。
とはいえ、そこまで頻繁に美容室に行く時間もない……ということを聞きます。
ここで問題となるのが、希望の仕上がりいならないのに自宅で頻繁に染めていることです。
かなりダメージが進んでいる方も多いですし、内側の染めムラもかなりあります。
そして、美容室でのカラーチェンジが困難となっている状態の方も多くいます。
市販の白髪染めにもいくつか種類があって注意も必要
ご自宅でも出来る白髪染めでよく使われる順に紹介します。
- (アルカリ性)酸化染毛剤
- 白髪染めトリートメント
- ヘアマニキュア
- 植物性染料ヘナ
この4つがご自宅でのセルフカラーで白髪染めするときに使われます。
3,ヘアマニキュアと4,植物性染料ヘナの2つを使う方は少ないです。
2,白髪染めトリートメントは使う方が増えてきています。
でも、圧倒的に多いのが1,の酸化染毛剤での白髪染めです。
ドラッグストアで市販されている白髪染めの多くが【(アルカリ性)酸化染毛剤】というヘアカラー剤です。
シエロやビゲンなどの2剤式ヘアカラー剤で、クリームタイプや泡タイプの白髪染めもコレです。使ったことがある方も多いのではないでしょうか。
(ウェラトーンの3剤式も同じです)
美容室の白髪染めで最も使用されるヘアカラー剤です。
酸化染毛剤の中でも【弱酸性】や【アルカリ性】などといくつかありますが、市販されている白髪染めはアルカリ性酸化染毛剤がほとんどです。
そして、この美容室でも市販でも1番人気のアルカリ性酸化染毛剤の白髪染めですが、いったい美容室と市販の白髪染めで何が違うのかを説明します。
- ヘアカラー剤の成分や特徴の違い
- ヘアカラー剤の扱い方の違い
- アフターケアの仕方の違い
この3つを知ることで、ご自宅での白髪染めに対する考え方が変わるかもしれません。
実はヘアカラー剤の成分や特徴に大きな違いはない
「市販の白髪染めヘアカラー剤を使うと髪が傷む」
「美容室の白髪染めヘアカラー剤は髪に優しい」
このように思っている方はすごく多いですが、これは間違いです。
実は2つとも大差ありません。
成分的にも白髪が染まる仕組みにも大きな違いはありません。同じなんです。
美容室の方が染まりやすい仕組み。美容室の方が傷みにくい成分。美容室の方が色持ちが良い成分。というわけでもないのです。
基本的に大きな違いはなく、どちらの白髪染めヘアカラー剤も髪と頭皮への負担はあります。
ただ、市販の白髪染めの方が少しだけアルカリが強く感じます。これは、アルカリの力で髪表面のキューティクルを開くとき、どんな髪質や状態(染まりづらい髪質)でもしっかりとキューティクルを開くためかと思います。
このアルカリが強ければ強いほど髪の負担は大きくなります。そういった意味では、市販の白髪染めの方が少し傷みやすいとはいえます。
ただ、アルカリ剤だけが髪のダメージにつながっているわけではありません。
(後述します)
アルカリ性酸化染毛剤の白髪染めヘアカラー剤は、美容室のも市販のも基本的には
- 同じ成分
- 髪が染まる仕組みも同じ
で、各メーカーで保湿成分や香料の違いなどがあるくらいで、同じ白髪染めです。市販の白髪染めだけ髪が傷むわけではありません。
アルカリ性酸化染毛剤で髪が染まる仕組みをより理解すると、ヘアケアや頭皮ケアの意識が高まると思います。
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誰が?何を選択し?どう扱うのか?が1番大きな違い
美容室の白髪染めも髪が傷むなら、市販の白髪染めでセルフカラーでいいのでは?という疑問が出てくるはずです。
時間的な部分とコストパフォーマンスで考えるとそうですが、仕上がりと今後のことを考えると大きな違いがあるんです。
【市販の白髪染めでセルフカラー】
・知識を持たない美容師ではない一般の方が、
・白髪染めヘアカラー剤を選び、
・塗り方も知らずに染めていく
これが市販の白髪染めでご自宅で染める場合です。
けれども、美容室の白髪染めは
【美容室で美容師が白髪染め】
・確かな知識を持った美容師が、
・豊富な経験から髪の状態に合わせてヘアカラー剤を調合し、
・ベストな施術工程を正確な技術で進めていく
市販と美容室の白髪染めの1番大きな違いが「知識・経験・技術」です。
先ほど、白髪染めヘアカラー剤(アルカリ性酸化染毛剤)自体に違いはないことは説明しました。
違うのは、白髪を染めるヘアカラー剤を扱うのが「美容師」と「素人」ということです。
美容師ではない方が知識と経験、技術がないのは当然ですが、これが本当は1番大切な部分なんです。
美容師がサロンでお客様の白髪染めをするときにしていること
当然ですが、市販の白髪染めでセルフカラーする時とは大きく違います。
ご希望の仕上がりを聞く
白髪染めで求める仕上がりを聞きます。
ただ、すべてをパーフェクトに叶えてくれるヘアカラー剤はないので、白髪染めにおいての優先順位をここで聞きます。
全てを叶えるとは「ダメージもなくどんな髪色にも出来て、色落ちしない白髪染め」というようなこと。どうしても、出来ること出来ないことがあります。
白髪の生えている場所や量。髪質や髪と頭皮の状態をチェックします
ご希望の仕上がりにする上で、白髪の生えている場所や白髪の量というのがかなり関係してきます。
また、髪の施術履歴を聞きながら、髪質や髪のダメージ度合いなどをチェックします。
髪の毛は、毛先〜中間〜根元といった部分でダメージ度合いが違ってくることがほとんどです。
パーマやカラーが複数回施術されている毛先、カラー1回だけの中間といった部分的な違いが、白髪染めの施術にも影響してきます。
また、ヘアカラー剤に対してのアレルギーの有無、お肌の強い弱い、頭皮の状態などをチェックします。
上記のようなことは、次の
白髪染めヘアカラー剤の選択・調合・施術工程を決める
ために全て必要な情報です。
- ご希望の仕上りにするため
- 色持ち良くしっかりと染めるため
- 髪に余計な負担が掛からないよう
といったことを考えて、ヘアカラー剤を選定し調合します。そして、髪に余計な負担を掛けないような施術工程で、ムダなくスマートに塗布していきます。
美容室では、お客様の髪の状態によって
- ヘアカラー剤の強弱を調整します
- 複数のヘアカラー剤を部分的に塗り分けます
- 放置時間を調整します
また、白髪の生えている場所や量によって
- 白髪染めとおしゃれ染めを調合します
- 白髪の集中している場所とそうでない場所での塗り分け
などをすることで、染まりや色持ちが良くなるよう考えています。
こういったことすべて、市販の白髪染めでのセルフカラーではまず無理と言えます。
「市販と美容室の白髪染めヘアカラー剤の成分や特徴に違いはない」と「アルカリが髪に負担を掛ける」と説明しましたが、
美容室では、このアルカリの強弱を調整することで髪への負担を最小限に抑えたり、ムダな脱色作用が起きないよう塗り分けたりします。
こういったことが仕上がりやダメージ度合いに1番影響してくるので、ヘアカラー剤の選定や調合、施術を美容師が行うことが市販でのセルフカラーとの最大の違いです。
- 美容室での白髪染めが気になる方は、こちらをご覧ください。
『黒髪も白髪も明るく染めるには白髪染めヘアカラー剤の調合が必要』
白髪染め後のアフターケアの違い
白髪染めヘアカラー剤(アルカリ性酸化染毛剤)に対しての確かな知識と経験がないと、アフターケアをしっかりと行うことはできません。
美容室では、このアルカリ性酸化染毛剤での白髪染めで髪と頭皮にどのような負担があるのかを理解した上で、お客様のご希望を叶えるために使用しています。
(場合によっては、違うタイプの白髪染めをご提案することもあります)
その場限りの白髪染めではなく、
- 髪に余計なダメージを残さない
- 頭皮トラブルの要因となるものを除去
次回の施術につながるようにアフターケアをして仕上げています。
プラス料金発生の有無は美容室ごとで違うでしょうが、多くの美容室では当たり前のようにやっているのがこのアフターケアです。
僕の美容室では、年間通してお客様の髪と頭皮の健康状態を把握させていただき、ベストなスタイルがキープできるように心掛けています。
白髪染めをするようになると、定期的にヘアカラーをする方が多くなります。
- 必要以上に髪のダメージが進んでしまうと、次回の提案ができなくなります
- 頻繁な白髪染めにより頭皮環境が悪化すると、ご希望の仕上がりにできなくなります
こういったことにならないよう施術していけるのが、美容室での白髪染めの特徴です。
白髪染め後のアフターケアは、美容室ではもちろんご自宅でも絶対にやることをオススメします。
市販の白髪染めでセルフカラーを続けて大変なことに…
最低限知っておくべき知識を持たずに、市販の白髪染めで頻繁に染め続けた結果、
- 表面と内側での色の違い(染めムラ)
- 細毛、薄毛
- 髪の限界ダメージ
- カラーチェンジ不可能
という状態になってしまうこともあります。
白髪は伸びてきてすぐに気になるので、手軽に自宅で使える市販の白髪染めで毎週のように染めるという方もいます。
髪とお肌のダメージは目に見えづらいですが、徐々に悪い方に進んでいます。
また、気になるお顔周りだけ頻繁に白髪染めする方も多く、表面の髪だけ染料が重なり暗くなって、カラーチェンジが困難な状態になります。
市販の白髪染めでのセルフカラーは、正しい知識を得てからやるべきです。
「白髪染めがはじめて」という方は、まずは美容室で相談しましょう。
市販の白髪染めが特に悪いわけではない。大切なのは扱い方です。
「市販と美容室」どちらの白髪染めヘアカラー剤も同じヘアカラー剤です。
どちらを使っても髪と頭皮の負担を避けることはできません。どちらもダメージは出ます。
ただ、白髪染めにおいてここで紹介したアルカリ性酸化染毛剤は
- 黒髪も白髪も同時に染めれる
- (限度はあるが)明るくも暗くもできる
- 色数豊富
- 色持ちが良い
という特徴があり、1番使われる白髪染めなわけです。
そして、白髪染めにおいて大切となるのが扱い方です。
市販の白髪染めで、不必要な施術で過度なダメージが出たり、染めムラなどの失敗が起きるのは、ヘアカラー剤のことを理解せずに扱い方を間違えてしまうからです。
たくさんの白髪染めヘアカラー剤が市販されていることに、美容師としてはちょっと心配な気持ちでいます。
リスクやデメリットの部分を知ることなく、簡単に購入し使えてしまう今の状況もどうなんだろうかと。