- 2020.02.12
- 白髪染めのこと
白髪染めヘアカラーをする時にいつもピリピリと刺激を感じるけど大丈夫?
白髪染めに限らずファッションカラーでも同じことですが、美容室での白髪染め施術において、カラー剤を塗布した頭皮に刺激や違和感を感じる方はいます。
刺激の強い弱いの感じ方は個人差ありますが、
「なんかピリピリと滲みてきた…」
「少し痛い…」
「まったく感じない。カラー剤が冷たいくらい」
お客様によって様々です。
この刺激は気にしなくてもいいものなのか?頭皮に影響はないのか?このように疑問に感じている方もいるはずです。
結論から言って、よほどの痛みや刺激を感じていない限り、特に問題はありません。
それでも、刺激があるとなれば気になる訳ですから、ヘアカラー剤によって起きる刺激の原因と対策を紹介していきます。
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刺激を感じる白髪染めはアルカリ性酸化染毛剤というヘアカラー剤
まず、刺激を感じるヘアカラー剤はこの「アルカリ性酸化染毛剤」であることがほとんどです。
また、白髪を染めるとなると多くの美容室がこのヘアカラー剤を使用しています。
それに、市販されている白髪染めカラー剤で1番多いのもこのタイプです。そのため、自宅で白髪を染めているという方の多くが使用しているかと思われます。
この最も使用頻度の高い白髪染めは、デメリットとして髪と頭皮に負担がゼロではないということがあります。
それが、
- 施術の際に刺激を伴うことがある
- 施術によってアレルギーを引き起こす可能性がある
- 髪にダメージが出る
ということです。
(とはいえ、この白髪染めを使うのが危険という話ではありません。)
アレルギーを引き起こす可能性のお話については、こちらの記事をご覧ください。
→『白髪染めヘアカラー剤でのかぶれやアレルギーが起きる原因をどこよりもわかりやすく解説』
この記事では、白髪染めの施術の際になぜ刺激を感じるのかという部分について詳しく解説します。
アルカリ性の白髪染めは弱酸性の頭皮には刺激がある
健康的な髪・頭皮のph値は4.5〜6の弱酸性となります。基本的には、弱酸性の状態が本来あるべき頭皮の状態なのです。
白髪染めヘアカラー剤を頭皮に着けると弱酸性の状態が変化していきます。
下図を見てください。
上図でわかるように、アルカリ性酸化染毛剤での白髪染めをすると、正常な頭皮の状態である弱酸性からアルカリ性へと傾いていきます。
そのアルカリ性への傾きが頭皮の刺激や違和感の原因です。
白髪染めに含まれるアルカリと過酸化水素が刺激を引き起こす
アルカリ性酸化染毛剤での白髪染めには、
- アルカリ性酸化染毛剤の1剤
- 過酸化水素の2剤
この2つが重要な役割を果たします。黒髪も白髪も同時にキレイに染めるのに必要不可欠な役割です。
必要不可欠ではありますが、どちらも弱酸性である頭皮と髪(タンパク質)と相性が悪く、ダメージや刺激の原因となっています。
この2つで白髪が染まる仕組みを簡単に説明します。
1,1剤の酸化染料とアルカリの役割
白髪をしっかり染めるには、ヘアカラー剤に含まれる染料を毛髪内部に浸透させ、発色と定着をさせる必要があります。
アルカリには「キューティクルを開いて染料を毛髪内部に浸透させる」と「髪のメラニン色素を分解して黒髪を明るくする(脱色)」という2つの大事な役割をします。
酸化染料(ジアミン)には「毛髪内部で発色し、定着させる」という役割をします。
2,2剤の過酸化水素の役割
白髪も黒髪もキレイに明るく染めるには、黒髪は明るくして白髪には色を入れる必要があります。そうでなくては、黒髪と白髪が均一な仕上がりになりません。
過酸化水素には「1剤のアルカリと共に髪のメラニン色素を分解する(脱色)」と「1剤の酸化染料の発色・定着を助ける酸化を促す」という2つの大事な役割をします。
1剤も2剤も黒髪と白髪を同じような色調・明度に染めるのに重要となります。
白髪をしっかり染めて色持ち良くさせるためには、最低限の刺激とダメージは避けて通れないものとなります。
だから、頭皮ケアとダメージケアも大切となるのです。
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白髪染め後のアルカリ除去がアフターケアで大切
先ほど「弱酸性の頭皮がアルカリに傾くことで刺激を受ける」と説明しましたが、この刺激やダメージの原因の1つであるアルカリは、髪と頭皮に残りやすいのです。
残りやすいというかシャンプーで洗い流せるというものではありません。頭皮と髪が弱酸性というph値からアルカリ性に傾いてしまうわけなので。
アルカリに傾いたままの頭皮と髪は、ダメージが進行しやすい状態です。正常な状態と比べてダメージを受けやすいのです。
- ドライヤーやアイロンなどの影響を受けやすい
- 色持ちが悪くなる
- パサツキなど乾燥しやすくなる
- 痒みの原因となりやすい
日常生活での時間の経過とともに、徐々に弱酸性に戻ってはいきますが、なるべく早く弱酸性の状態に戻るようにしてあげることが大切なんです。
アルカリ除去にはいくつか方法があり、美容室ごとで違うかと思います。
ほとんどの美容室では、当たり前のようにカラーやパーマの後にアルカリ除去に効果のあるシャンプー剤やトリートメント剤を用いて、頭皮と髪を弱酸性に戻すようにしています。
症状は「ピリピリ」と刺激を感じるもの
アルカリと過酸化水素により刺激を受けている頭皮は「ピリピリ滲みる」というように感じる方が多いです。
この刺激は、極端な例えではありますが「肌が極々軽い火傷をしている」に近いかもしれません。
実際は火傷しているわけではありませんので大丈夫です。
刺激を感じるのはどのくらいの時間?数分?
白髪染めヘアカラー剤を塗り始めて、
- すぐにピリピリ感じる方
- 塗り終わって放置中に感じる方
- 刺激を感じる時と感じない時がある方
- 何も感じたことがない方
個人差がかなりあります。
基本的には、大なり小なり刺激があって当然なのがアルカリ酸化染毛剤での白髪染めと思っておいて間違いありません。
ただ、元々の肌が強い弱いという個人が持つ特性にも左右され、肌が強い方は刺激を感じない。肌が弱い方は強い刺激に感じることもあります。
多くの場合が、刺激を感じ始めて数分(5〜10分以内)でおさまってきます。刺激に慣れてくるともいえます。
どんな時に刺激を感じやすいのか?刺激を軽減する方法とは?
白髪染めのヘアカラー施術中に刺激を感じる時と感じない時があったりします。
また、頭部全体ではなくどこかの箇所だけで刺激を感じるという時もあります。
それには、いくつか理由があります。
白髪染めをする前の頭皮状態が刺激に関係する
- 頭皮の乾燥が目立っている状態
- 頭皮に傷、吹き出物などがある状態
こういった状態は、必要以上な刺激の原因になります。
頭皮が乾燥する理由としては、季節性であったり使用しているシャンプー剤、ストレスなど生活習慣の場合もあります。
頭皮の乾燥を防ぐには、自分の肌に合うシャンプーの選択が重要であり、生活習慣の見直しが大切です。
また、頭部にかゆみがあって無意識に引っ掻いてしまった時にできる傷や、間違ったシャンプーの仕方により着いてしまった細かい傷なども刺激の原因となるので、普段から注意が必要です。
こういった気付かないうちに出来た細かい傷の部分だけ、いつもより刺激を感じる場合もあります。
とはいえ、こういった頭皮の状態では白髪染めができないというわけではありません。
頭皮状態に合わせて施術方法を考える
いつもより刺激は感じやすい状態ですが、頭皮への刺激を和らげる保護オイルを着けたり、傷のある部分だけカラー剤が着かないようにして塗ることで対応できる場合もあります。
もしくは、刺激や負担がない白髪染めヘアカラー剤で施術する方法の選択となります。ただ、いつもアルカリ性酸化染毛剤で白髪染めをしていたなら、違うヘアカラー剤を使うことでのデメリットには注意が必要です。
発色や明るさは劣りますが、弱アルカリ性カラーや酸性カラーでの白髪染めです。
どちらにせよ、カラー施術前には美容師の診断が必要となります。
僕の美容室では、白髪染め(ヘアカラー)をするお客様の施術前に、頭皮の状態をチェックしてから施術に入ります。毎回チェックします。
頭皮の状態がいつも同じとは限りませんので、いつもご来店くださるお客様でも毎回チェックします。
また、いつも刺激を感じるという方は、白髪染めをする前日はシャンプーを控えてみてください。
頭皮から出ている皮脂は、ヘアカラー施術時の頭皮保護の役割をしてくれます。
洗いすぎは、頭皮に必要な皮脂を奪うことになるので注意してください。
白髪染め当日の体調が刺激に関係する
美容師が判断するには難しいところです。染める当日の体調次第ではご自身で判断する必要があります。
- 寝不足で体調が悪い
- 風邪気味
- 二日酔い
- ホルモンバランスが崩れている
などの時のヘアカラー施術は、あまりオススメしません。
絶対に出来ないわけではないですが、安心できる状態でもありません。
以前、二日酔いで寝不足のお客様は、頭皮の刺激が我慢できないというのではなく、ヘアカラー剤独自の匂いに気分が悪くなってしまった方もいます。
やはり、体調がいつも通りの状態である時がベストです。
体調がすぐれない時は、事前に担当美容師に必ず伝えるようにしてください。
白髪染めヘアカラーの施術中に我慢できないくらい刺激を感じたら?
無理せずヘアカラーの最中でも担当美容師に必ず伝えてください。
滅多にないことではありますが、以前ヘアカラーで明るい髪色がご希望のお客様が途中で気分を悪くされたことがあります。
すぐにシャンプーをしてヘアカラー剤を流して頭皮の状態を確認したところ、頭皮の何箇所かでうっすらと血が滲んでいる箇所がありました。
相当痛かったことかと思いました。
よくよく聞いてみると、このお客様は元々とてもお肌が弱いみたいで、それでもどうしても希望の色に染めたかったらしく、ギリギリまで我慢していたとのことです。
絶対に我慢しないでください。
ジアミンアレルギーがある方はまた別の皮膚炎症状が出るため、目に見えてわかることもあり施術中の美容師が判断することは出来ます。
しかし、白髪染めヘアカラー剤に含まれるアルカリに反応して刺激を感じている場合は、美容師が目で見て判断することはほぼ出来ません。
お客様の顔色や我慢をして無理をしているという状態が見えない限り、美容師が気づくことは難しいため、お客様自身で判断してもらう他ありません。
白髪染めの最中に、
- 我慢できないほどの刺激がずっと続く
- いつものカラーをしている感じとは明らかに違う
などの状態になったら、我慢する必要はありません。
「途中でやめたら白髪が染まらないのも困る…」と思わずにです。
別の方法で白髪を染めることも出来ます。(その日に施術というのは、心配ですので日を改めてとなりますが)
一言お声掛けください。
「すみません、我慢出来ないくらい頭皮が痛いです」と。
すぐに対応させていただきます。
アルカリに反応して起こる刺激を理由に白髪染めを諦める必要はありません。
ジアミンアレルギーもアルカリによる刺激もですが、これらを理由に白髪を染めることを諦める必要はありません。
アルカリに対して毎回刺激を感じていたお客様でも、アルカリ性酸化染毛剤で白髪染めを続けているお客様もいます。
あるお客様は、我慢できるくらいだが毎回染め始めだけピリピリと滲みるということでしたので、頭皮保護オイルを用いた施術にしています。今の所、強い刺激を感じることなく白髪染めを続けることが出来ています。
別のお客様は、頭皮保護オイルだけでは刺激が緩和されないので、アルカリ性よりも刺激が少ない弱アルカリ性のカラー剤での白髪染めを続けている方もいます。
白髪染めで重要な役割のあるアルカリは、刺激とダメージというマイナス面があります。
しかし、アルカリによる頭皮の刺激はジアミンアレルギーとはちょっと違ったもので、必ずしもアルカリヘアカラー剤(白髪染めで最も使われる)が使えなくなるという訳でもありません。
どのくらいの刺激を感じるか、頭皮にかぶれなどの肌荒れといった症状の有無など、人それぞれの症状次第ではありますが継続して白髪染めできるお客様も多いです。
お客様には「滲みてないですか?」と毎回確認はします。頭皮の状態にもよっていつもより刺激を感じることもありますので。
ただ、毎回刺激を感じている。やるたびに刺激を強く感じるようになってきた。などの場合は、使用するヘアカラー剤を変えていきながら様子を見る方が安心です。
白髪染めで感じる刺激にはある程度対応可能であり、頭皮ケアとヘアケアが大切
白髪染めで最も多く使われるアルカリ性酸化染毛剤は、黒髪も白髪も明るく染めやすく、色持ちも良いヘアカラー剤ではありますが「刺激とダメージ」というデメリットが存在しています。
刺激の原因や症状、対策をまとめると、
【刺激の理由】
白髪染めヘアカラー剤に含まれるアルカリと過酸化水素の反応。
(明るく色持ちよく染めるために重要)
【刺激の症状】
ピリピリと頭皮が滲みている感じ。
(個人が持つ肌の特性や当日の頭皮の状態、体調などにも左右される)
【刺激が続く時間】
多くの方は5〜10分以内でおさまる。
(塗り終わって放置中には感じなくなることも多い)
【刺激を和らげる】
- 施術前に頭皮保護オイルをつける
- 前日のシャンプーを控える
- 根元ギリギリから染める
- 弱アルカリや酸性タイプの染毛剤に変える
(染まり具合や色持ちは劣る)
【アフターケア】
ヘアカラー後に髪と頭皮に残りやすいアルカリを除去することが大事。
残留アルカリ除去ができるシャンプー剤やトリートメント剤、ヘッドスパなどで髪と頭皮を弱酸性の状態に戻してあげる。
→『白髪染めをしている方にオススメのアルカリ除去に効果的なケア』
我慢できないくらいの刺激や毎回感じる強い刺激、ヘアカラー後の頭皮の違和感などを感じるようなら、無理せず担当美容師に伝えてください。
もしかしたら、アルカリに対しての反応ではなく、アレルギー反応かもしれません。この場合は、別の対応が必要となりますので、こちらをご覧ください。
→『白髪染めヘアカラー剤でのかぶれやアレルギーが起きる原因をどこよりもわかりやすく解説』
また、どんな白髪染めヘアカラー剤にもメリットデメリットがあり、このアルカリ性酸化染毛剤は白髪染めの仕上がりとしては良いのだが、刺激とダメージがゼロではないということを理解してください。
刺激などのデメリットもあるが、白髪染めで暗くはしたくないという方は、こちらもご覧ください。
→『白髪染めで最も使われるアルカリ性酸化染毛剤のすべてを解説』